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W5500 Ethernetを使った安定通信設計のコツ

W5500 Ethernetを使った安定通信設計のコツ

IoT機器や制御装置では、無線通信(Wi-Fi)よりも「有線Ethernet」を重視するケースが増えています。 その代表的な通信チップが WIZnet W5500 です。 本記事では、W5500を使用した安定通信設計のポイントを解説します。

1. W5500とは?

W5500は、TCP/IPスタックを内蔵したEthernetコントローラです。 マイコン側はSPIで通信するだけで、複雑なネットワーク処理をW5500が自動的に行います。 主な特長は以下のとおりです。

  • ハードウェアTCP/IP搭載でCPU負荷が極小
  • 最大8ソケット(同時接続)をサポート
  • 100BASE-TX対応/高信頼・低遅延
  • 電源ノイズに強く、産業用途に最適

2. 配線と回路設計のポイント

  • SPI接続ラインは短く・平行配線を避ける(EMI対策)
  • INTピンを活用して受信割込みを処理(ポーリングより安定)
  • PHY周辺に必ずノイズフィルタ・マグネティックジャックを使用
  • 電源ラインに10μF+0.1μFのデカップリングを配置

3. ファームウェア実装のコツ

W5500はハードスタック方式のため、ソケット通信を明確に制御することが安定動作の鍵です。


// W5500接続サンプル(PlatformIO/Arduino互換)
#include 
byte mac[] = {0xDE,0xAD,0xBE,0xEF,0x00,0x01};
IPAddress ip(192,168,1,50);
EthernetClient client;

void setup() {
  Ethernet.init(5);        // SPI CSピン
  Ethernet.begin(mac, ip);
  client.connect("example.com", 80);
}

通信断時には Ethernet.maintain() を定期実行し、DHCP更新や再接続を確実に行いましょう。

4. ESP32/RP2040との併用構成

ESP32やRP2040などのMCUと組み合わせることで、 Wi-FiとEthernetを切り替える「デュアル通信構成」も実現可能です。 安定性が求められる監視装置やゲートウェイ装置に最適です。

まとめ

W5500は「安定」「低遅延」「長期運用」に強いEthernetソリューションです。 弊社では、W5500を使った産業用IoT装置や、ESP32併用のハイブリッド通信設計も多数実績があります。
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