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11.62025
W5500 Ethernetを使った安定通信設計のコツ
W5500 Ethernetを使った安定通信設計のコツ
IoT機器や制御装置では、無線通信(Wi-Fi)よりも「有線Ethernet」を重視するケースが増えています。 その代表的な通信チップが WIZnet W5500 です。 本記事では、W5500を使用した安定通信設計のポイントを解説します。
1. W5500とは?
W5500は、TCP/IPスタックを内蔵したEthernetコントローラです。 マイコン側はSPIで通信するだけで、複雑なネットワーク処理をW5500が自動的に行います。 主な特長は以下のとおりです。
- ハードウェアTCP/IP搭載でCPU負荷が極小
- 最大8ソケット(同時接続)をサポート
- 100BASE-TX対応/高信頼・低遅延
- 電源ノイズに強く、産業用途に最適
2. 配線と回路設計のポイント
- SPI接続ラインは短く・平行配線を避ける(EMI対策)
- INTピンを活用して受信割込みを処理(ポーリングより安定)
- PHY周辺に必ずノイズフィルタ・マグネティックジャックを使用
- 電源ラインに10μF+0.1μFのデカップリングを配置
3. ファームウェア実装のコツ
W5500はハードスタック方式のため、ソケット通信を明確に制御することが安定動作の鍵です。
// W5500接続サンプル(PlatformIO/Arduino互換)
#include
byte mac[] = {0xDE,0xAD,0xBE,0xEF,0x00,0x01};
IPAddress ip(192,168,1,50);
EthernetClient client;
void setup() {
Ethernet.init(5); // SPI CSピン
Ethernet.begin(mac, ip);
client.connect("example.com", 80);
}
通信断時には Ethernet.maintain() を定期実行し、DHCP更新や再接続を確実に行いましょう。
4. ESP32/RP2040との併用構成
ESP32やRP2040などのMCUと組み合わせることで、 Wi-FiとEthernetを切り替える「デュアル通信構成」も実現可能です。 安定性が求められる監視装置やゲートウェイ装置に最適です。
まとめ
W5500は「安定」「低遅延」「長期運用」に強いEthernetソリューションです。
弊社では、W5500を使った産業用IoT装置や、ESP32併用のハイブリッド通信設計も多数実績があります。
→ IoT試作・量産支援サービス / ファームウェア開発ページ